【ストーリーズ】
世界の名だたるシェイパーのサーフボードで世界の波に乗って来た、伊豆のプロサーファー鈴木直人。
世界を巡って来たからこそわかる日本の良さ、伊豆の良さ。
同時に、世界と日本との違いも肌身で感じて来た。
プロサーファーの直人にとっては、その違いはサーフボードにおいてどんどん蓄積されることになる。
世界とは異なる日本の波、日本人の体型。
サーフボードに対して感じてきたことを表現したいと思い始めた。
「自分の削ったサーフボードで波に乗りたい」
その思いは2カ月のハワイでのシェイプ修行へ向かわせ、名シェイパーのジェフ・ブッシュマンに基礎を学ぶ機会を得る。
そして、最初の一本を完成させ、自分の思い描くサーフボードを削ることに日々を積み重ねた。
その中で大きな出会いがあった。
今までにたくさんのサーフボードを削ってもらって来た日本人名シェイパーの松本光二氏と偶然会い、シェイプを教えてほしいとその場でお願いした。松本氏は快くよい返事をしてくれ、そのことが自身の感性をサーフボードの形に表現することに大きな力となっていった。
「出会いがすべてだなって思う」
松本氏の理念が自身のシェイプに入って来たことによって、思い描くサーフボードがますます出来上がっていった。
そして、今や直人が作り出すサーフボードのクオリティは多くのサーファーが彼のサーフボードに乗って楽しむ姿で証明されている。
「僕はサーフィンをしたい。その時間を大事にしているんだ。自分のサーフィン技術もキープしながらサーフボードをテストし続けたいと思っていて。今まで世界中の有名なシェイパーのサーフボードを30年以上世界中の波で試して来たよ。そこで感じて来たのものを自分の削るサーフボードに集結して注ぎ込んでいる。自分がイメージするものを形にして、それを乗り手が証明してくれるんだ。だから自分の感性を“いかに表現できるか?”であって、それで最終的にみんなが楽しめればいいと思っているんだ」
日々のサーフィンからのフィードバックがさらに楽しめるサーフボードを生み出す。サーフィンへの情熱がそのままサーフボード作りへの情熱に繋がっているのだ。
また幸運なことに直人の元に知人からヴィンテージボードがプレゼントとして集まって来た。それらの古き良きサーフボードに乗ることで新しいアイデアが生まれて来ると言う。まさに“温故知新”といえるだろう。
波との出会い、サーフボードとの出会い、人との出会いによって、Narai surfboard NDS(NAOTO DESIGN SHAPE )は進化し続けていく。
ライター:Yuriko Yonechi