映画「エンドレス・サマー」デジタルリマスター版

多くの人の冒険心をかきたて、人生に影響を与え続ける

サーフムービーの原点にして最高傑作

未知の世界へ冒険の旅に出かけたくなる映画体験!

7月12日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー


サーフトリップという言葉を生んだ、終わらない夏と完璧な波を求めた旅の物語
4Kリマスターにより、世界中の風景と美しい波が鮮明にスクリーンを覆いつくす
1966年、画期的なサーフフィルムが全米の主要都市で劇場公開された。それが『エンドレス・サマー』(The Endless Summer)だ。3人のカリフォルニアボーイが、たった1台のカメラとサーフボードを持って、最高の波を探して世界一周の旅に出る――そんな輝かしい青春の日々の記録をメインにした約90分のドキュメンタリー。このフィルムがサーフィン映画の金字塔として、永遠のクラシックとして、歴史的に愛されることになるとは、きっと若き当事者たちは夢にも思わなかっただろう。

偉業を成し遂げた3人の青年とは、監督と撮影を同時に務めた撮影当時26歳のブルース・ブラウン(1937年生まれ)。そして“W主演”となったリアルサーファー、21歳のマイク・ヒンソン(1942年生まれ)と、高校を卒業したばかりだった18歳のロバート・オーガスト(1945年生まれ)。1963年11月、ロサンゼルス空港から旅立った3人は、大西洋を渡って西アフリカのセネガルへ、そしてガーナの漁村、ナイジェリアから赤道を越えて南アフリカのケープタウンとダーバン、セントフランシス岬を経て、オーストラリア、ニュージーランド、タヒチ、ハワイをめぐった。

ヒンソンによると、当時のサーフフィルムの作り手はただ単純にサーフィンだけを見せる作品を撮っていたが、唯一ブラウンは2人から3人のサーファーを主人公に立て、ストーリーのある映画を作っていた。『エンドレス・サマー』もその冴えた独自性の延長にあるわけだ。また映画のタイトル部分のサンセットからイメージされた、ジョン・ヴァン・ハマーズヴェルド(1941年生まれ)によるアイコニックなポスターデザインは、彼が『SURFER』誌のアートディレクターを務めていた頃、ブラウンから依頼されて生まれたものである。

こうして社会現象と呼べるほどの人気を獲得した『エンドレス・サマー』が、後世に及ぼした影響力の凄さについては、まさしく枚挙にいとまがない。最も顕著なのは「サーフトリップ」という概念を誕生させたこと。それは文字通りサーフィンのため、良質の波を求めて世界のスポットを旅する行為を指すが、当時としては斬新な発想だった。『エンドレス・サマー』では米国の白人青年たちが、南アフリカのセントフランシス岬でパーフェクト・ウェイブ(完璧な波)と出会い、また海岸線に広がるサンゴ礁のせいで波が来ないと噂されていたタヒチでも、予想に反して素敵なサーフスポットを発見する。こうした世界の広さを知る彼らの旅は、決してサーファーだけでなく、多くの観客の冒険心や未知への好奇心を刺激した。さらにまだサーフィン文化が到来していないセネガルやガーナでの地元の人々(特に子供たち)との交流など、文化人類学的な側面もあるロードムービーとして楽しむことができる。

おそらくドキュメンタリー/劇映画を問わず、1966年以降のサーフィンを扱った映画で、『エンドレス・サマー』の影響を受けていない作品は皆無と言っていい。映画史にひとつの確かな革新をもたらしたマスターピースであり、かつて3人の若者が映像に刻んだ雄大な冒険のDNAは、あらゆる場所に広がっている。そしてこの原点のフィルムを再生すれば、あの瑞々しい夏がよみがえる。

アメリカでこの映画は米国議会図書館、ニューヨーク近代美術館、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。今回、初めて4Kデジタルリマスター化され、マイクとロバートが旅した世界中の美しい波が再びスクリーンに甦る。