南の島の探索記

昔からこの南の島には波があると噂されながら、まったく謎とされてきました。謎を解明すべき島へ極秘潜入!!ホテルに到着して部屋のカーテンを開けるとそこには、、、、。

ここは強い日差しが照りつける気温30度の亜熱帯の南の島。昔からこの島は波があると噂されながら、まったく謎とされてきました、、、、、。ホテルに到着して部屋のカーテンを開けると、、、、。パーフェクトなレギュラーの波がブレイクしているではないですか!!おっ、おっ、驚いて慌ててシャッターを切りました。

セットが入った!!!軽く見てもダブルくらいはサイズがありそう!!冷静に辺りを見渡すと、、、、ラインアップには人は誰も入っていない、、、。これだけの波がブレイクしていて人が入っていないと言う事は、、、。『危険』という文字が頭をよぎる、、、。初日は様子を見るだけにしておこう。しかし惚れ惚れする様なパーフェクトなブレイク、、、チューブはグリグリ巻いている、、。

波のサイズはまだまだ十分過ぎる程あって、沖のリーフでは勢いよく波が炸裂している。 今日はポイント探しで山へ登ってみる事にする。天気も良く視界は良好だ!! ビューポイントを見つけて海を眺めると遥かアウトサイドでリーフに沿ってきれいにブレイクしているのが見える。サーフィンが可能と思われるブレイクがあそこもここも、、、、、。  次々とポイント発見!!

しかし遥かアウトまで出るのには相当のパドルをしなければならない。う〜ん(考え込む)ジェットスキーかボードで行くしか無いなぁ〜、、、。  遠いポイント。

移動して次のビューポイントに登ってみると、、、。港に近いポイントを発見!!そこは、レフトのブレイクでパーフェクト&エクセレントな波!!セットを見ると、底掘れに掘れ上がり1本の波で2回もエアを吹いている!!まるでハワイのアラモアナボールズの様なブレイクだ!!しかし、、、、ポイントには誰もサーフしていない。確かにパーフェクトにブレイクしているのだが、波は強烈で力強い。あの波で本当にテイクオフが出来るのか?!相当の”ウデ”が無ければこの波に太刀打ちできないだろう、、、。

少し波が落ち着いて来た!昨日、見た”アラモアナボールズ”のようなポイントをチェックすると、、、おっ!サーファーがいた!!この島へ来てはじめてサーファーに出会った。アウトには3〜4人ほど入っている。でもよく見ると、、、みんなボディーボーダーばかりだ。ブレイクは速く、たまにチューブは巻いているがライディングの距離は短くショートライドばかり、、、。  ブレイクは速くショートブレイク!!

もっといい波を求めて島の南端まで波チェックへ出掛けることにした。地図を見ながら良さそうなリーフを見つけて、車を停めて双眼鏡でこまめに波をチッェクする、、、。今回のウネリは北東のウネリなので南へ来れば来る程、波はサイズダウンしていく、、、。きれいな形の良いリーフがたくさん点在しているが波が小さくブレイクしていない、、、残念。 ヒザ〜モモサイズできれいにブレイクしているポイントを発見!!レギュラーブレイクで長く乗れそうな雰囲気!!

ポイントの近くのフルーツ小屋へ立ち寄ると日本人のおじいさんに出会った、、、。このおじいさんはこの島へ移住して35年と言う、、。ジャングルで”ノニの葉”を採り焙煎してお茶を作っている。おじいさんにサーフィンが出来るポイントを訪ねると『昨日は、あそこのポイントにたくさんのサーファーが集まってサーフィンしていたぞ!あそこは波がでかくなるといい波が立つんじゃ!昔からサーファーが集まるんじゃけん!』岡山県出身のおじいさんは熱く語ってくれた。間違いないなかった!あのリーフは、この島で一番良いリーフの形をしている!

いよいよパドルアウト!! 波探しばかりもしていられない。いい波を見過ぎて体がウズウズしてきた!ホテル前のレギュラーブレイクにパドルを開始!!アウトまでの距離は想像以上に遠く、沖まで出るのに約30分程掛かった。アウトへ出た時には”腕がパンパン”に張っていてクタクタに疲れてしまったが、、。

ポイントに着いて岬の奥を見ると数名のサーファーの姿が見えた、、、ホテル前のその奥にメインのブレイクはあったのだ!!疲れも忘れて急いでメインへ向かうと、、、そこには浅いリーフに沿ってレギュラーの波がチューブを巻いて綺麗に割れていた!!チューブを巻いて勢いよくリップが落ちる音が『ダッダッダッダッダッ』とピークからショルダーへ向かって順序よく鳴り響いている!!こんなブレイクはハワイやタヒチで見て以来の光景だった!しばらくその光景に見とれてしまった、、、。

セットが入った!!アタマオーバーのその波はピークから掘れ上がりそのままリーフにヒットして分厚いリップが宙を飛び”真ん丸のチューブ”を作り出している!!セットが去り冷静になって見ると水深は浅くヒザくらいの深さ、、、。そのピークにはボディーボーダーが1名、サーファーが1名入っていたが、波に乗るとチューブに入る手前でプルアウトしていた、、。やっぱり危険だなと諦め掛けたが、ショルダーから眺めるそのチューブはあまりにも美しく『絵に描いた様なブレイク』に目を奪われていた、、、、。

ピークに人が居なくなり、危険な波と思いつつ、引き寄せられる様にピークへパドルしていった。何本かの波の様子をみる、、。『テイクオフが出来れば、後はあのリップの中へ入れる、、。』『あのチューブをメイクしたら気持ちがいいだろうな、、。』とプラス思考へとなっていく、、。セットが来た!!ポジションはバッチリだ!行くしかない!ショルダーには数名のサーファーがこちらを見ている。テイクオフの寸前にボトム全体にリーフが見えるが怯まずに思い切ってボードの上に立つ、、、。そそり立つ波の壁はオフショアの風に吹かれ綺麗にシェープされている、横へ走るとリップが頭上に飛び出した!突っ込むしか無い!綺麗に巻いたチューブはボードのスピードを遥かに上回り、リップは次から次へと頭上に降って来る、、、。チューブの奥深くに自分とボードだけが取り残され、大きな水の壁とリップが襲いかかって来た、、もうダメだと思った瞬間、波に激しくもまれ、、、腰がリーフに当たり激痛が走る、そして続いて頭もリーフにヒット、、、。水面に上がりボードにしがみついて、頭に手をやり出血していないかを確認する、、、、。出血は免れた。でも腰は激痛が走りボードの上に乗るのがやっとだった。沖へ出て落ち着きを取り戻し数分すると腰の痛みも和らいだ、、、。”ここの波は危険だ””本当に抜けられるチューブだったらもっとローカルサーファーが居るはずだ。”ケガをして改めて冷静になる、、、。

ボードをチェックすると”フィンが1本無くなっていた”!! あまりにも浅いリーフにフィンが引っかかって取れてしまったようだ、、、。大きなケガが無かっただけラッキーだったと思う。教訓『美しいものにはトゲがある、女性も波も、、、、、。』でもここのチューブは余りにも美しかった、、。

次の日の朝一。気を取り直して、他のポイントへ向かう事にした。ボードはもう一本持って来たボードのフィンを外し、昨日無くなったフィンのボックスへ差し込む、、。もう無茶はしないと自分に言い聞かせる。朝は風も弱く天気は快晴だ!!以前から気になっている”アラモアナボールズの様な”レフトポイントへ向かう。駐車場は車も少なく静まり返っている、、。波が無いのか?ポイントを覗くとセット間隔は長いがたまにアタマオーバーの波が入って来る!!沖には誰もサーフしていない!やるしかないでしょう!すぐに着替えを済ませてパドルアウト。沖へ近づくにしたがって、、、。またブレイクの凄さに圧倒される、、、。小さめの波は何とかテイクオフできそうだが、セットは深い水深から一気に浅いリーフに乗り上げて凄いスピードでブレイクしている、、。以前チェックした時も波数は多い割には沖にいるサーファーは余り波に乗っていなかった、、、。ここも慎重に波を選ばなければならない。
ムネ〜カタサイズの小さめの波を何本か試しに乗ってみる、、。サイズは小さいが波の力は強くボードは良く走る!ショートなブレイクだが波の形は良く、2〜3回はリップが気持ちよく決まる!!どんどん調子が乗って来るとセットを掴みたくなるのが”サーファー魂”というもの、、、。セットが入るとパドルを開始!最初はゆっくり見えた波もリーフに当たった瞬間もの凄いスピードで盛り上がる!セットの波を掴み3回連続でパーリング、、、。ここの波のスピードは半端ではない!思い知らされたのでした、、。
一人でサーフしていると沖へ向かってサーファー二人がパドルしてきた。まずは軽く会釈するとアイコンタクトをしてきた。真っ黒な体でがっちりしたガタイ、、。腕にはタトューが見える、、。ピークを避けてショルダーへ移り波を譲る事にする。80年代と思われる黄ばんだボードで波をつかみ豪快に波に乗って行く、、。波を知り尽くした感がある、、間違いなくローカルサーファーだ。すると向こうから話しかけてきた。『どこから来た?』”日本の静岡というところです。”『日本は波はいいのか?』”低気圧と台風が来ればいいよ。”『台風の時はここも良い波だぞ!』『ここのポイントはどうやって知った?』”ネットで調べて知ったよ。ここは日本人のサーファーは来るの?”『いや来ない!ローカルがl厳しいからな、、。』『おまえはラッキーだぞ!もし2〜3人でこのポイントへ入って来たらこれだ!!』と言いながら手を振り上げ首を切る真似をする、、、。お〜怖〜、、。『おまえもポイントを持っていれば俺たちの気持ちが分かるだろ!!』うん、うんとうなずく。するとオーバーヘッドのセットが入る!!みんな一目散に沖へ逃げて波をスルーする。『今の波はおまえにベストな波だったぞ!(笑い)』その波は掘れ過ぎていて、とてもテイクオフできる波ではない。そんなジョークにみんなで笑った。
未開の島として今までベールに隠され続けるこの島。島の人々はとてもメローで笑顔の絶えない良い人ばかりだった。一方、海の中は波も人もハードだったのがとても印象的だった。これからも人々に知られる事なくローカル達にポイントは守られ波はブレイクし続けていく事だろう、、、。世の中にこんなポイントが存在してもよいと思う、、。僕はローカルが守り続けるこの島を”心の中にそっと閉まっておこう”と思った。『完』